見当識障害の症状と対応・ケア

認知症の中核症状に、見当識障害があります。

  • 見当識とは、自分が置かれている状況を正確に認識する能力です。見当識障害が現れると、日時や季節、自分の居る場所や方向感覚、誰と話をしているのか、周りの人と自分との関係などが分からなくなります。見当識障害は、認知症の初期症状で良く見られる中核症状の一つです。

当識障害の症状

  • 日時や季節がわからなくなります。・・・見当識障害は、最初に時間の感覚がわからなくなる場合が多く、日付や時間を間違える事が多くなり、外出するような時間でもないのに急に出かけようしたり、予定に合わせて準備をしたり、約束の時間に待ち合わせをしたり、長い時間待つことができなくなります。進行とともに朝昼夜がわからなくなり、次第に季節もわからなくなっていく為、季節に合わない衣類を着てしまうこともあります。
  • 居る場所や方向感覚がわからなくなります。・・・次に認識しにくくなるのが、自分の居る場所や方向感覚です。外出した際に、自分が居る場所がわからなくなり迷子になるといった場面が増えます。更に進行すると、家の中でもトイレの場所などがわからなくなってしまったり、自宅に居ても自宅だと認識できずに自宅に帰ろうと思って外出してしまうこともあり、これが徘徊の原因になります。徘徊によって交通事故を引き起こしたり、行方不明になってしまうケースが多く見られます。
  • 誰と話をしているのか、周りの人と自分との関係などがわからなくなります。・・・毎日会っている家族以外の人を間違えることが多くなります。また、実子を孫と認識してしまうなど周りの人と自分との関係を間違えるようになります。最終的には、家族も認識できなくなり、他人行儀になったり、家族を泥棒と間違えて騒いだりしてしまうこともあります。

日時の認識障害への対応とケア

  • 認識に間違いがあっても、否定や訂正はせずに、できるだけ本人に自覚してもらえるような環境を整えて下さい。
  • 見やすい場所に、大きな日めくりカレンダーと時計を置くなどして、認識しやすい環境を整えてみて下さい。
  • 今日は「何日?何曜日?今何時?」などの質問を、自然と会話に盛り込むようにしてみて下さい。
  • 「お昼の時間だ」「もう寝る時間だ」などと、声掛けをしてみて下さい。
  • 午前中にできるだけ一緒に散歩をして日光を浴び、適度な運動で体を疲れさせ、昼夜の区別がつくようにしてみて下さい。
  • 季節感に合わせた服のコーディネイトができなくなる場合は、例えば、夏場に服を着込んでしまうと、脱水症状や熱中症などの原因となるため、声掛けをしたり、冬服などをしまうなどの対応をしてみて下さい。

場所の認識障害への対応とケア

  • 自宅に居ても家に帰りたいと訴えがあった場合には、自宅であると認識して貰おうとせず、安心できる場所だからもう少し居てみようかなと思って貰えるように、穏やかに接してみて下さい。また、入院や引越し、施設への入所などで住む環境が変わる場合には、本人の思い出の品や、使い慣れている家具などをできるだけ持っていくことで、安心感に繋げることが大切です。入院した場合には、できるだけ家族が面会に行って、本人が不安にならないように気を配ってあげることが重要です。
  • 下記は、家の中のトイレの場所がわからなくなってしまっている場合におけるポイントです。
  • 部屋をトイレの近くに移したり、寝室に簡易トイレを設置してみて下さい。部屋が変わった事で、不安になったり、部屋が分からなくなっってしまう場合には、元に戻して下さい。
  • トイレのドアに、トイレと大きく書いた紙を貼ってみて下さい。
  • トイレまでの道順に、矢印を設置してみて下さい。
  • 一緒にトイレまで行き、ここがトイレであることを、何度も繰り返し伝えてみて下さい。

人の認識障害への対応とケア

  • 相手が誰なのか間違った認識をしていても、否定をしたり、本人に向かって怒ったり、無視をすることはしないで下さい。本人にとって強いストレスになり、そのストレスで症状が悪化してしまいます。まずは本人の言動を、否定はせずに笑顔でいったん受け止めて、周囲の人が本人に合わせることで信頼関係を築き、安心してもらうことが対応の第一歩です。