認知症とは?

  • 認知症とは、生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態のことです。以前は認知症のことを痴呆症と呼んでいましたが、痴呆症という言葉自体に、差別的なニュアンスが含まれているとして、2004年に厚生労働省が「認知症」という呼称に変更をしました。認知症と痴呆症は、呼び方が違うだけで、同じ病状を指しています。
    認知症の診断に関しては、最も用いられている診断基準のひとつとして、アメリカ精神医学会によるDSM-IVというものがあります。各種の認知症疾患ごとにその定義は異なっていますが、共通する診断基準には以下の4項目があります。
    ① 多彩な認知欠損。記憶障害以外に、失語、失行、失認、遂行機能障害のうちのひとつ以上。
    ② 認知欠損は、その各々が社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準から著しく低下している。
    ③ 認知欠損はせん妄の経過中にのみ現れるものではない。
    ④ 痴呆症状が、原因である一般身体疾患の直接的な結果であるという証拠が必要。
    近年では認知症早期診断の進歩により、こうした診断基準を満たす状態は、かなり進行した認知症であり、早期治療にはつながらないという意見が多く、早期診断を可能にする新たな診断基準も作成されています。また、最近ではアルツハイマー型認知症などの前駆状態を、MCI(軽度認知障害)と言うようになっています。  認知症を引き起こす病気のうち最も多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがこの「変性疾患」に該当します。続いて多いのが、脳梗塞、脳出血などのために、脳の神経細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。これらの認知症は、残念ながら現在の医学では治すことができない進行性の病気です。ここ数年で、ようやく認知症への理解が進み、認知症という言葉への世間の抵抗感も減ってはきていますが、認知症に関する様々な問題が全国で発生しており、その問題が深刻化している状況です。