認知症のケアと介護の基本

  • 認知症のケアと介護にあたっては、基本的なスタンスと患者の心理を理解する必要があります。

本人を尊重し、尊厳を守りましょう。

  • 認知症になると、家族が理解できないような行動を取ることが往々にしてあります。まずは、家族が認知症という病気を理解することが大切です。家族が困ったりすることであっても、本人としては故意ではなく、本当にそう思っているうえでの言動です。まずは、笑顔でいったん受け止めて、本人に合わせることが大切です。そのうえで、本人の考え方を十分に受け身で傾聴し、感情や行動の意味などを理解・尊重し、1日100回でも同じことに付き合うくらいの心の余裕を持って接することが重要です。家族も心に余裕がなくなり、ストレスが溜まると、ベルトなどで身体拘束をしたりするなど、虐待という人権問題に進展してしまい、本人の尊厳が犯されてしまうこともあります。そのような問題があることから、2006年には高齢者虐待防止法が施行されています。

チームワークが大切です。

  • 認知症のケアと介護は、家族で行うなどチームワークが大切です。いくら認知症という病気を理解していても、時には介護者の精神状態の波や疲労の蓄積によって限界が訪れます。そのような時は、自分の限界の原因を詳細に理解することが必要です。限界の原因を理解することによって、できるだけ限界に到達しないように家族と話をして、各々の負担を分散すようにして下さい。分担の際には、できるだけ同じ作業は同じ人が毎回対応するように決めると、本人の安心感にも繋がることになります。

見守りと観察が大切です。

  • 認知症だからと言って、何もできない訳ではありません。できる限り本人の残っている認知機能や生活能力を活かし、少しでも進行を抑えるために見守るということが大切です。できたことに対しては、褒めてあげることで、本人のやってみようという意欲が高まり、次に繋がります。また、見守るには住環境調整も大切で、バリアフリーなどによって行動範囲を広げてみることや、大きな日めくりカレンダーと時計を見やすい位置に配置して現在の情報を分かりやすくすることなど、色々と考えて環境を整える必要があります。そして、特に本人の行動や身体の不調、周辺症状などを観察することで、できることとそうでないこと、今関心や興味のあること、体調の異変、周辺症状の根本的な原因などを把握することが重要です。認知症の方は、身体の不具合を言葉で十分に表現できなかったり、健康管理についての認識も低下するため、介護者の気付きと対応が非常に重要になります。また、把握できている情報を、家族間で蜜に共有することによって、更に安心してもらえる対応と環境作りが可能になります。

患者の立場に立って、共感することが大切です。

  • 本人には、こちらが受容していることを表現するために、相づちを打ったり、頷いたり、言葉を繰り返しながら本人の話しを聴くことが重要です。話の中で、本人の現在の感情を正確に把握をして、共感していることが伝わるような言葉で返すようにしてみて下さい。そのことによって、安心感を与えることができ、良好な関係を築くことで、感情の安定に結びつきます。

    認知症の方は、日常的に不安感など心理的な負担を抱えています。本人の心理を理解してケアや介護を行うことが重要です。

認知症患者の心理状態

  • 不安感・・・物忘れなどの度に、認知症の進行に対する不安感が蓄積していきます。
    不快感・・・思い通りにならないことが増えてくることで、イライラしたり、混乱するなどして不快感(ストレス)が蓄積していきます。
    うつ・抑うつ・・・不安感や不快感が蓄積することで、うつ状態になり、自発性が低下します。
    易怒性・・・不安感や不快感が蓄積することで、ちょっとしたことでも感情的になり、怒りやすくなります。

    全ての対応で共通することは、否定をしない、訂正をしない、怒らない、無視をしないということです。本人が強いストレスを受けると、症状が悪化してしまいます。まずは、本人の言動を笑顔でいったん受け止めて、否定はせず周囲の人が本人に合わせ、信頼関係を築き、安心してもらうことが大切です。

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