失語の症状と対応・ケア

認知症の中核症状に、失語があります。

  • 失語とは、認知症の中核症状の一つで、身体の器官(構音器)には異常が見られませんが、聞く・話す・読む・書くといった言語機能が低下した状態をいいます。認知症初期の段階では、使用頻度の低いものの名前から出にくくなり、「あれ」や「それ」と言った代名詞が多くなります。日常生活程度の会話はできますが、難しい話はできなくなります。

失語の種類と症状

  • 運動性失語(ブローカ失語) ・・・ 聞いて理解することは比較的よくできるのに、話すことがうまくできず、ぎこちない話し方になります。読み書きは仮名に比べ、漢字のほうが能力が保たれます。
  • 感覚性失語(ウェルニッケ失語)・・・ なめらかに話せるものの、錯誤(※1)が多くなり、聞いて理解することが困難になります。読み書きは、一部を除き仮名に比べ漢字の能力のほうが保たれます。 (※1)錯誤 ・・・ 言葉を言い間違いすること。
  • 全失語 ・・・ 日常の挨拶や、本人の状態などに関する質問くらいは理解できることもありますが、残語(※2)程度しか話せなくなります。読み書きは、ほとんどできません。 (※2)残語 ・・・「そうだ」「だめ」など、限られたいくつかの言葉が繰り返し出てくるその言葉を指しています。
  • 健忘失語 ・・・ 相手の言うことは比較的よく理解でき、滑らかに話をしますが、喚語困難があるため、ものの名前がすぐに出てきません。また、迂言(うげん)と言って回りくどい言い方が多くなります。読み書きは、読解や音読は保たれますが、書字能力には個人差があります。 (※3)喚語困難 ・・・ 何かを言おうとした時に、言うべき言葉が出てこない状態です。
  • 伝導失語・・・ 聞いて理解する能力は比較的保たれていますが、字性錯語(言葉の一部の言い誤り)が多く、誤りに気づいて言い直そうとするため、発話の流れが妨げられます。読み書きは、漢字より仮名のほうが障害されることが多く、特に復唱が言語理解に比べ際立って障害されます。

    この他にも字が読めない(失読)、文字が書きにくい(失書)、計算ができない(失算)など、さまざまな症状があります。

失語への対応

  • 焦らずに、忍耐強く接することが重要で、言い間違いなどを指摘したり、笑ったり、何度も言い直しをさせたりするようなことはしないで下さい。話すことも聞くことも時間がかかりますので、長い言葉や文章は避け、簡単な言葉でゆっくりと一音一音はっきりと伝えて下さい。

ケアのポイント

  • 本人の話をある程度の時間はさえぎらない。
  • 身振りや手振りで伝える。
  • 漢字や物や絵で伝える。
  • 別の言葉で伝える。
  • 「はい」や「いいえ」で答えられるような質問にする。など

    一度で理解できないこともあるので、その場合は伝える方法を模索しながら繰り返し伝えて下さい。 

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