前頭側頭型認知症

  • 前頭側頭型認知症は、65歳以下の比較的若い人が発症し、有病率は人口10万人あたり2~10人と推計され、認知症全体の約5%を占めています。発症してから徐々に進行するため、病院で診断されるまでは少なくとも半年以上、平均で2年かかるため、診断が難しい病気と言われています。前頭側頭型認知症は、前頭側頭葉変性症(※1)の1つで、前頭葉と側頭葉の委縮によって起こります。発症後の生存期間が、6~11年程度と他の認知症に比べて短いと言われています。

(※1)前頭側頭葉変性症とは、前頭側頭型認知症・進行性非流暢性失語・意味性認知症の3つの病気の総称です。

  • 進行性非流暢性失語・・・主に、喚語困難と失構音による発話障害があります。また、チューリップのようなモーラ数の多い単語や文表現、仮名書字障害などが認められます。
  • 意味性認知症・・・復唱は良好ですが、呼称と語理解の障害が顕著です。

発症原因

  • タウ蛋白やTDP-43(※1)、FUS(※2)などの蛋白が異常変異することが原因であると考えられていますが、発症原因は分かっていません。遺伝性の場合には、タウ遺伝子、TDP-43遺伝子、プログラニュリン遺伝子などに変異が見つかります。

(※1)TDP-43 ・・・ 不均一核内リボ核酸蛋白の一種で、正常な脊髄運動神経細胞の核に局在しています。前頭側頭葉変性症や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の変性部位に出現するユビキチン陽性封入体の構成蛋白質です。
(※2)FUS ・・・ 転写、選択的スプライシング(DNAから写しとった遺伝情報のなかから,不要な部分を取り除く分子的な編集作業)およびmRNAの輸送(特異的な核外輸送受容体により,核膜孔を介して細胞質へ輸送)を調節するRNA結合タンパク質です。

前頭側頭型認知症の種類

  • 前頭側頭型認知症は、前頭葉変性型、ピック型(ピック病)、運動ニューロン疾患型の3種類に分類されます。
  • 前頭葉変性型・・・前頭葉と側頭葉前方部の皮質浅層優位に軽度から中程度の非特異的な変性が見られます。
  • ピック型・・・大脳皮質全層にピック小体やピック細胞が見られます。
  • 運動ニューロン疾患型・・・脊髄や大脳にユビキチン陽性・タウ陰性封入体がみられます。代表的なのが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)です。

前頭側頭型認知症の特徴

  • 記憶障害よりも、性格変化やコミュニケーション障害、行動異常といった、社会生活において支障が目立つのが特徴です。下記のような行動が見られます。
  • 記憶障害は軽度ですが、ルールを無視したり反社会的な行動など常識外れな行動が目立つようになります。
  • 同じ発言や行動を繰り返します。
  • 同じ物を食べたがったりするなど、異常な食行動が見られます。
  • 集中力や自発性がなくなります。
  • オウム返しなど、目の前の事象に影響されやすくなります。
  • 言葉が出てこなくなります。